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ご飯と睡眠に勝てるものを探そう

完璧に近い。長谷川さんは、いまの生活をそう表現する。

家に帰れば奥さんがいて、友達もいて、やっていること全部楽しいし、お金にも困ってない。正直、これ以上何を求めるの?って感じ

引きこもり気味だった小学生が、漫画家を夢見て少しばかりの原稿料をもらい、イラストレーターになり、NPOを立ち上げ、バーを作り、今はライブ配信クリエイターのマネジメントもしている。

最初はなんかいろんなことをやっている人だなと思ったが、その中心にあるのは、シンプルな哲学だった。

「ご飯と睡眠に勝てるものが一つあれば、楽しく生きていける」

今回は、そんな長谷川さんの”力の抜けた強さ”に迫った。

長谷川さんの最近について

── まずは現在のお仕事について教えてください。

NPO法人SACの代表をしています。他にもイラストの仕事、実家でバーの運営、最近はTikTokクリエイターのマネジメントもやってます。割合でいうと、NPOと配信系が多いですかね。

── 活動の幅が広いですね。生活はどんな感じですか?

完璧に近いです。奥さんがいて、仲間がいて、楽しいことで埋まってて、お金もちゃんとある。もちろん”もっと上”はあるんだけど、それでもいま幸せですね。

── 苦しい時期はありましたか?

種まき期間めっちゃ長いな…と思った時はありました。でも基本、好きなことしかやってないから苦しいって感覚はあまりないです。

── なぜ好きなことを続けられたんでしょう?

なんでですかね、、、”リスク”だと思ってなかったからな気がします。僕にとって会社員になる方がリスクだと思ってました。笑
だって、朝起きるのも苦手だし精神衛生上、無理だと思ってたので。

小学生の”引きこもり”から始まった人生

── 小学生の頃、引きこもりになったとのことですが?

正直、理由は覚えてないんですよ。なんか”周りと合わない”ってずっと思ってて。友達と遊びたいけど、合わない。それで学校に行けなくなりました。最初は行きたいと思う日もありましたが、小学校4,5年生くらいから中学卒業まで不登校でした。

── その頃はどんなことをして過ごしてたのですか?

ずっと漫画描いてました。漫画家になるしかないと思ってたので(笑)
母親が少年ジャンプを買ってきてくれてその中に”中卒で漫画家、年収1億超え”という記事を見て、”これだ!”と(笑)。
当時は不登校=当たり前じゃないと思ってしまっていて、高校生になれるのかなとか働けるのかなとか将来の不安がすごくあったので、漫画家の記事を見たときは本当にこれしかないと思ってたと思います。
そこから個人事業主っぽいスタンスとかメンタルがスタートしました。

── 漫画は得意だったのですか?

いえ、全然です。ただ、当時は本当にそれしか生きて行く道がないと思っていたので毎日寝る間も惜しんで描きまくりました。
その結果もあり、中学2年生の時ジャンプの月例賞の最終候補に残って、担当編集者もついて…原稿料も少しだけもらえてました。
でも正直楽しいという感情よりも、”これしかない”という気持ちで没頭してた感じです。

── そこからはどのようなキャリアだったのですか?

ジャンプに連載できるよう頑張ってたのですが、青年誌の方が書きたいと思っていたので高校2年生の時にヤングガンガンに投稿して銀賞をもらいました。そのままヤングガンガンの方で読み切り漫画の仕事をして原稿料をもらってましたが、連載まではいかなかったですね。
ただ、5万円とかもらってたので学生の自分にとってはすごい大金でした。

── そこからイラストレーターへ少しずつ変わっていったと聞きましたが、なぜ漫画家からイラストレーターに?

少しずつ漫画をかいてることが近所の人たちに知られるようになり、あるとき近所の人に”結婚式のウェルカムボード描いて”と頼まれました。
そのときにイラストレーターという仕事があることを知って、ありがとうなど人の反応が直接返ってくるのが楽しくて。
“漫画家”じゃなくてもいいな、って思えたんですよね

高校卒業後、NPO法人SACが生まれるまで

── 卒業後はどんな生活でしたか?

卒業後もイラストレーターとして細々生きてました。そして、22歳くらいでスポーツSACを立ち上げました。

── なぜSACを?

高校まで部活動に入っていたのですが、卒業したらスポーツする場所ないなと思って、月1の遊び感覚で友達とスポーツイベントをしてたらどんどんやりたいって連絡が来るようになって。
“みんなもスポーツしたいんだな”って。それから月1回が月2回、週1回となり4年前くらいに法人化して、SAC自体は今8年くらいやってます。

── バーの運営もやっているんですよね?

そうです。2020年のコロナ禍に母が”スナック始めたいな”と言い出して、今まで実家の1階を祖父が農業用で使っていたのですが、そこを使わなくなったこともあり、バーを作りました。
母親的には1階の空いているところで友達を呼んで飲めるようにする程度を想定していたみたいなのですが、せっかくならちゃんとした店を作ろうと言って親子で1から作って始めました。
まさかこんな感じになるとは想像もしてなかったですが、今は友達、近所の方がふらっと集まれる場になれているのでよかったなと思ってます。

ワクワクするというよりは試行錯誤が好きなんだと思う

── ワクワクする瞬間ってどんな時ですか?

あまりワクワクするっていう感覚はないかもしれないです。”試行錯誤してる時”がいちばん楽しくて、ワクワクっていうより、ひとつひとつ”試していく感じ”が好きなんだと思います。

── 逆に苦しい瞬間はありますか?

“こうなるだろう”が外れた時かな。SACもバーも色々な人を巻き込んでるから、自分が期待していた結果が出なくて迷惑かけちゃうときは結構落ちますね。

── そのときはどう乗り越えていますか?

失敗して落ち込んでも、基本は”続ける”。辞めたい時はちょっと手を離すけど、完全には辞めない。少しずつでもやめなければどこかで視界が開けたりやってきてよかったと思える時が来るから。そしたら落ち込んでたことも必要なことだったのかと思えることができます。

今までの選択の判断基準

── これまでの選択はどう選んできたのでしょうか?

むずかしいですね。基本的には”自分だけ楽しい”ことはやらないですかね。主語が”自分だけ”になることはほぼなく、自分以外の誰かの感情が動いてる時の方が、自分のモチベーションも高まります。今までやってきたことも続けてこれてることは基本誰かが喜んでくれてるから続けられてます。イラストもSACもバーもマネジメントも。

── 続けることの価値をどんな時に感じますか?

少しずつでも、たまにでも続けることでそれまでに失敗だと思っていたことも、線で繋がったりする時です。関係ないと思っていても繋がることは多くある。例えばバーのロゴとかSACのロゴとかはイラストやってたから描けた。全く関係ないことでも実は使えることが多かったりするなと。

経済的な不安はないのか

── 収入源は?

イラストと配信系がメインかな。結構波があるから月毎に全く違います。

── 不安ってないの?

ないですね(笑)
20代半ばぐらいまでは本当にお金がなかったし、貯金も0円とか普通だったし、最悪バイトしたら生きれるって思ってるので。日本にいたら死なないよなと思ってます。

失敗と後悔の捉え方

── 失敗はどう捉えますか?

確認不足とかの失敗はしないほうがいいと思いますが、チャレンジした失敗は”自分のキャパを越えられた証拠”だからどんどんしたほうがいいと思う。むしろ失敗しないということは自分のキャパ内で過ごしている証拠だと思ってます。

── 今までの人生で後悔はありますか?

思いつかないです。やめずに続けていると”あれをしていてよかったとか、あれがあってよかった”に変わる時が来るので。相当失敗してきましたが後悔していることは本当にないですね。

今の生活で得たものと手放したもの

── 自身の好きなことを選び続けた道で得たものは?

体力・気力ですね。どんだけ働けるかは才能だと思ってるし、僕は無限に働けます(笑)実際漫画家の時もイラストもバーもSACも寝ずにやり続けたいと思えてます。
あとは人との出会いですね。不登校で夜間の定時制に行って色々な人に出会ったことも自分の人生にとってはすごく大きかったですし、仕事でも色々な方に出会えてものすごく楽しい。

── 逆に失ったものはありますか?

一般的な感覚値はないです。失ったというより最初から備わってなかったかもしれないです(笑)物の高い安いとかよく分からないし、朝9時集合と言ったら普通の人たちにとっては早いのか遅いのかも分からない(笑)そういう一般的な感覚は鈍いかもしれないです。
あとは”毎月決まった額が振り込まれる”ってのは素晴らしいなとは思いますね。

「普通じゃない道」を歩きたい人へ

── 最後にメッセージをお願いします!

まずは”ご飯と睡眠に勝てるもの”を1つでも見つけて欲しいです。仕事じゃなくても趣味でもなんでもいいので、とにかく没頭できるものを見つけてください!
あとは、経営者もフリーランスも会社員も、思ってるほど変わらないので、いまあなたが思ってることを”すごいチャレンジ”だと思いすぎないでいいと思います。大抵のことが時間が経って振り返ったらちっぽけなことです。
あと……ちょっとくらいなら他人に迷惑かけて全然OKだと思います(笑)


あなたの”ご飯と睡眠に勝てるもの”は、なんですか?

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